大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)398号 判決
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〔判決理由〕三、損害
(一)石川久三郎の逸失利益
一、〇四二、二〇二円
<証拠>を総合すると、石川久三郎は、本件事故による死亡当時六六才一一ケ月であり、原告らとともに五人家族で生活していたもので、田五反二畝三三歩を一人で耕作して年間に米一三石および野菜の収穫により四〇六、〇〇〇円の収入を得ていたことが認められ、右認定に反する証拠はない。以上の事実によれば石川久三郎は、事故がなければ、死亡時から五、三年は就労可能であり、逸失利益算定については右農業収入を得るために要する経費および石川久三郎の生活費を合わせて収入の二分の一を控除すべきものと考えられるから、石川久三郎の死亡による将来の逸失利益を年毎のホフマン式により年五分の割合による中間利息を控除して算定すると、別紙計算書(2)記載のとおり、一、〇四二、二〇二円となる。<中略>
(五) 逸失相殺および損害の填補
<証拠>を綜合すると、本件事故現場は、南北に通ずる道路と東西に通ずる道路とが交わる信号機によつて交通整理の行われている交差点の北側であり、南北に通ずる道路には中央線が設けられ、その道路の西側は川となつており、最高速度は時速四〇キロメートルと指定されていたこと、姜正義は、加害車を運転して南から北に向つて時速約四〇キロメートルで道路西側を進行し、交差点の約三五、七メートル以上南側で、交差点の北行信号が青になつているのを確認するとともに、前方約五八、五五メートルの地点の道路東側を石川久三郎が被害車を運転して北から南に向つて進行しているのを認め、更に交差点の南側約一六メートル位まで進行したとき、前方約三三、一五メートルの地点で被害車が右斜めに進行して道路の中央線よりに走つてくるのを認めたが、そのまま進行し、交差点の手前約八、六メートルで警笛を一回鳴らしたが、そのままの速度で青信号に従つて交差点内に進入した際、被害車が交差点の北側で北東から南西に向つて右斜に進行を続けて道路の中央線附近にまできているのを前方約一五、三メートルに発見して急ブレーキをかけるとともに、右に転把したが及ばず、道路中央線よりやや西側の地点で加害車の左前部を被害車の左後部に衝突させて転倒させたことが認められ、右認定を左右しうべき証拠はない。以上の事実によれば、本件事故発生については、加害車の運転者の姜に、前方約三三、一五メートルの地点で被害車が右斜に進行してくるのを認めた際直ちに警笛を鳴らすとともに減速して被害車の動静に応じて停止することができるよう徐行するべき注意義務を怠つた過失が存したものと認められるけれども、一方石川久三郎にも被害車を運転中信号機の設置されている交差点附近で、南北の信号が青になつているのに、交差点の北側で、対向車の有無を十分確認することなく、北東から南西に道路を斜めに横断しようとした過失が存したものと認められ、損害害額の算定についてしんしやくすべき石川久三郎の過失割合は三割とするのが相当である。
石川久三郎および原告らは、本件事故による自賠保険金として三、五〇〇〇、〇〇〇円、被告から葬儀料として二七二、一〇九円、治療費として四一、四六〇円、以上合計三、八一三、五六九円の支払を受け、自賠保険金五〇〇、〇〇〇円は治療費に充当されたことは当事者間に争いがない。
従つて本件事故によつて石川久三郎および原告らが蒙つた総損害額は前記三(一)ないし(三)、(四)(1)(2)の計四、五五〇、一〇七円と本件請求外の右治療費、葬儀料計八一三、五六九円の合計五、三六三、六七六円の一〇分の七の三、七五四、五七三円(円未満切捨)となる。しかしながら石川久三郎および原告らは、合計三、八一三、五六九円の支払を受けたことは前記のとおりであるから、右損害はすべて填補されたものというべきである。
(山本矩夫)